危険物取扱者 乙種全類取得までのプロセス
プロフィール
- 工業高校三年生(電気系)
- 乙種1.2.3.5.6類を二か月間で取得
点数は以下の通りです。
一類:90%
二類:100%
三類:100%
五類:60%
六類:80%
平均すると86%となります。
試験の概要
まず、危険物取扱者試験について説明させていただきます。
1.受験資格
甲種には割と厳しめの受験資格が設けられていますが、
乙種や丙種には受験資格がなく、誰でも受験することができます。
2.難易度
甲種の難易度は高く、合格率は30%前後ですか、前述した「厳しめの受験資格」をクリアしたある程度化学に詳しい方や、危険物を扱う方が受験しにきますので、その中での30%ですので「難しい」と言っていいでしょう。
乙種の合格率は乙種4類が30%前後でその他が60%くらいです。
この理由については後程説明します。
3.科目免除制度
乙種の試験は、原則として以下のようにして採点されます。
危険物に関する法令・・・・15問
基礎的な物理学・化学・・・10問
性質と消火・・・・・・・・10問
それぞれの科目で60%以上の正答率
たとえば、以下のような正答率では不合格になります。
法令:90% 物化:90% 性消:40%
(性消が60%に達していないため。)
反対に、以下のような場合は合格になります。
法令:60% 物化:60% 性消:60%
(すべて60%以上になっている。)
しかし、[危険物取扱者 乙種]に一度合格し、免状交付を受けている場合は
次のような配点になります。
性質と消火:10問 以上!!!!!
60%以上の正答率であることで合格
なんと二回目からは10問、そのうち6問正解するだけで合格になってしまいます。
最初に乙4を取り、その科目免除を利用してほかの乙種試験を受ける方が圧倒的多数なので、乙種1.2.3.5.6類は合格率も高く、【科目免除者用乙種1.2.3.5.6.類】の参考書も大変充実しております。
4.併願受験
乙種試験は併願受験することも可能です。
併願受験とは、2種類の試験を同じ試験時間に受験するということです。
(3種類同時ができる県もあります)
受験料や、免状申請費用は二回分ちゃんととられますが、郵送する場合の封筒は一つにまとめます。
〇甲種と乙4の合格率が近い理由
乙4の合格率が30%前後なのに対し、甲種の合格率も30%前後になっています。
え?乙4の難易度って甲種と変わんなくね?
そうなんです、合格率でいうとあまり変わりません。
それは先ほどの内容と重複してしまいますが、やはり受験者層の違いやそれに伴う試験への取り組み方の違いに起因すると思います。
「受験者層の違い」というのも、
【工業高校生が受験する国家資格が乙4】なので、多くの工業高校生は【半強制的に乙4を受験している】といっても過言ではないのです。
半強制的ともなれば、必ずしもやる気にあふれた生徒が多いわけでもありません。
そういった背景から、乙4の合格率がかなり低く出てしまうのだと思います。
〇乙種全類取得のプロセス
最初は乙4からスタート
これはよほどのことがない限り乙4スタートでいくことをおすすめします。
理由は大きく二つありますが、一つ目は乙4を持っていることを前提とした乙種1.2.3.5.6類のテキストがほとんどだからです。
二つ目はガソリンや軽油などの普段から私たちの生活に馴染みがあり、出題傾向もガソリンや軽油が多いからです。やはりイメージのしやすさはとても重要で、【性消】の科目は比較的簡単に感じ、物理化学への勉強時間も確保しやすいでしょう。
・併願受験時の乙種1.2.3.5.6類の組み合わせ
さて、乙4に合格し、免状が届いたら科目免除を受けてる準備が整いました。
つぎに併願受験の組み合わせを決めるわけですが、五種類もありよりどりみどりです。
組み合わせを決めるうえで最も重要なのは当然ながら「難易度」です。
私も受験するときに調べましたが、なかなかそれらしい情報がなく困りました。
私個人の感覚での難易度を難しかったものからご紹介します。
・5類
最も難しかったのが5類です。これはまず名前を覚えるだけでも一苦労でした。「ジアゾジニトロフェノール」や「ジニトロソペンタメチレンテトラミン」など、化学に触れたことのほぼない私にはとても大変なうえに、性状も様々でこれは圧倒的1位です。
・1類
これも性質が細かくおぼえる必要があり、大変でしたが、過去問からおおよその出題傾向がわかれば簡単に合格することができます。
・3類
1類とは違った難しさでした。というのも、1類は小さな違いがたくさんあるのに対し、3類は性質が大きく異なります。
そのため一類と三類はほぼ同じような難易度だと思います。
・6類
6類と上記のものとはかなり差があるように思います。
6類や2類はまず対象となる危険物の種類が少なく、性質も似ているため、そこまで大変な試験ではありません。
・2類
これも6類と同じく、性質が非常によく似ていて、それ自体も難しい内容はないです。
・組み合わせの例
これらの難易度を考慮して組み合わせていきます。
まずおすすめは5類を単願で受けることです。
乙種1.2.3.5.6類は5種類ですので、併願受験をするとなると、一度何か不合格にならない限りは1つ単願で受験することになります。
その単願でうける種類は一番難しい5類にすることをおすすめします。
次は1類と2類を併願で受けましょう。
1類は比較的難しく、2類は簡単ですので、1類に勉強時間を割いても問題なくクリアできると思います。
また、この2種類はいずれも固体ですので、混同することも少ないとでしょう。
最後は3類と6類を併願で受けましょう。
これも比較的難しいものと簡単なものの組み合わせですので、どちらかに極端に時間を割きすぎなければ問題なく合格できるはずです。
〇高校生の表彰制度
高校在学中に【危険物取扱者 乙種全類】や【危険物取扱者 甲種】に合格し、免状交付をうけているとそれぞれの県を管轄する「消防試験研究センター」から額に入った賞状と「3,000円分の図書券」の副賞がいただけます。
毎年1月末までですので、日が近くなったら校務主任や学科長の教員に聞いてみましょう。
〇必要諸費
受験料乙種:4,600円 × 6 = 27,600円
免状申請料:2,900円 × 6 =17,400円 計45,000円
(さらに郵送料や手数料も結構かかります)
〇まとめ
乙4をとる
↓
乙5類をとる
↓
乙1・2類をとる
↓
乙3・6類をとる といった流れで進めることをおすすめします。
合計金額は 45,000円です(受験料+免許申請手数料)
おわりに
私は試験を受けるときに情報がなく、苦労していましたので、この記事をよんだこれから危険物の試験を受けようとする方のお力になれたらと思います。
国家試験なので結構いいお値段がしますが、これを足掛かりに甲種にもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。